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荒川 和夫
アイソトープ・放射線利用フォーラム講演論文集, 5 Pages, 2003/00
イオンビームの物質照射で二次的に放出される特性X線のスペクトルは、その物質元素特有の電子構造を反映するので、これを利用して物質に含まれる微量元素を分析することができる。この分析方法はPIXE(Particle Induced X-ray Emission)と呼ばれている。原研では、1個の生物細胞内の微量元素分布を1mの空間分解能で大気中で測定できる技術を開発した。この技術を用い、牛の血管内皮細胞内の元素の2次元分布を測定するとともに、放射線照射したヒト白血病細胞のアポトーシス過程における鉄元素の集積の様子,ヒト食道癌細胞に抗癌剤が集積する様子などを画像として捉えることに成功した。また、大気環境問題を解明するためにエアロゾルの個別粒子の元素分布とその濃度を定量する技術を開発した。
Ma, C.-J.*; 笠原 三紀夫*; 東野 達*; 神谷 富裕
Water, Air, and Soil Pollution, 130(1-4), p.1601 - 1606, 2001/08
被引用回数:11 パーセンタイル:33.94(Environmental Sciences)個別雨滴の大きさとその特性を調べるため、コロジオン膜を用いた新しいサンプリング法を開発した。雨滴は、1999年の9月から11月の間、京都大学宇治キャンパス内、地上から20mの高さで採取した。採取方法は、コロジオン膜上で個々の雨滴の複製を作製することにより行った。元素分析はPIXE法を用いて、硫黄を含む複数の元素を検出した。また、雨滴の内部構造を調べるために、マイクロ-PIXE分析も行い、雨滴の核形成中心の元素分析に成功した。
新里 忠史; 佐々木 祥人; 三田地 勝昭*
no journal, ,
福島県の阿武隈山地において林床状況の異なる観測領域を設定し、雨滴侵食により林外へ流出するCs量を観測した。観測領域は下草が繁茂しリターの堆積した斜面上部、下草がなくリターの堆積した斜面下部の北側、下草とリターのない斜面下部の南側である。リターによる林床の被覆率は、斜面上部で約95%、斜面下部の北側で約48%、斜面下部の南側で約5%であった。流出土壌の重量とCs濃度、及び観測領域のCs沈着量のデータからCs流出率を算出した結果、下草が繁茂しリターが堆積する斜面上部で0.5%、下草がなくリターの堆積した斜面下部の北側で0.9%、下草とリターのない斜面下部の南側では2.1%となった。以上の結果は、林床の被覆状況が森林域の放射性セシウム流出において重要な環境条件であり、下草が繁茂し落葉落枝等が堆積するような環境を整備することが、放射性セシウム移動抑制対策につながることを示すと考えられる。